カセットアダプターの「キュルキュル」「ガチャガチャ」を直す方法

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カセットアダプターの分解修理

カーオーディオとしてカセットデッキが装備されていたホンダライフJB1。

FMトランスミッターで音楽を聞こうとするとやけに音が安定しないので、カセットアダプターを試してみることに。

すると、使いはじめて1週間ほどで、ガチャガチャとオートリバースが誤作動するようになり、使い物にならなくなってしまいました。

カセットアダプターをカセットデッキから取り出してチェックしてみると、ギアのところになにやらあやしげな黒い塊が・・・。

さっそく持ち帰って分解してみることにしました。

歯車に何かが付着したカセットアダプターが悪くなった

ゴムパッキンが劣化してベタベタに!ギアの回転を悪化させていた

ちなみに、今回分解したカセットアダプターは、今はなきVictorの製品(CK-101)です。

Victor製のカセットアダプター CK-101

HARD OFFのジャンクコーナーで500円で売っていたもので、未使用のようだったのでおもしろがって買ってみて、1週間(約20時間)ほど使ったところでした。

それなりに使えそうだったのでうっかりしていましたが、やはりパーツが経年劣化していたようです・・・。

カセットアダプターを分解してみると、なんと劣化したゴムパッキンがベッタリとギアに絡みついていました。指を回転軸がわりにしてギアを回そうとするととても重たく、これが誤作動の原因に違いないと思いました。

分解したカセットアダプター1一見するとそれほど問題がなさそうに見える中のギア部分だが・・・

分解したカセットアダプター2右下の部分を取り外してみると、ゴムパッキンが劣化して完全に溶けてしまっていた

劣化したゴムパッキンによりベタベタになったギアあっちもこっちもベッタベタ (T_T)

ネット上には同じような症状に関する情報はいくつかありましたが、今回のような劣化したゴムパッキンが原因となっているケースは見当たりませんでした。

そこで、劣化したゴムパッキンによる不具合を解消するための分解と清掃ついて、ここに書き記しておきたいと思います。

ベタベタになったパーツを無水アルコールでひたすらゴシゴシ!

軽いベタベタなら、重曹水に1日浸け置くか重曹ペーストでこするだけで落ちそうですが、今回のベタベタは程度がひどく、重曹ではなかなか落ちそうになかったため、無水アルコールをつけてこすってみることにしました。

重曹ペーストで分解清掃中のカセットアダプターのギア部分重曹ペーストだとこのベタベタはあまり落ちない

すると、重曹ペーストだと何十回こすってもほとんど落ちなかった汚れが、無水アルコールだと数回でツルッと落ちることが分かりました。

カセットアダプターのギア部分を無水アルコールで清掃中無水アルコールによるこすり洗いを試してみる

そこで、全てのパーツを無水アルコール(+歯ブラシ)でこすり洗いすることにしました。

(ちなみに、私は今回素手でそのままパーツをこすり洗いしましたが、無水アルコールは脱脂力が強いため、肌が荒れたり、パーツの材質によっては溶けたりすることもあるようなので、注意が必要です。)
一つ一つが小さなパーツなので、歯ブラシを使って歯車の溝を一つずつ地道にこすっていきます。

汚れ自体は、きちんと歯ブラシの毛先が当たれば比較的簡単に落ちるのですが、とにかくパーツが小さいため、汚れの部分に毛先が当たりにくく、全てのパーツをキレイにするのに結構手間どりました。

そして、いくつかのパーツは材質のせいか、横着して重曹がついたまま無水アルコールでこすったためか、黒ずみがシミのように残ってしまいました。
しかしながら、ベタつきは解消されたようなので、ひとまずこれで終了としました。

無水アルコールで清掃した後のギア部分きれいになったギア部分の各パーツ

不要なパーツを一部取り除いてケースを組み立てなおす

パーツがきれいになったので、再度組み立てていきます。このとき、右下にあった小さい歯車部分は取り除き、中央の3つの歯車部分だけを再設置しました。
(画像では小さい歯車を一つつけた状態で撮影していますが、この後外しました。)

分解清掃後に再組立中のカセットアダプター

この状態で試しに指を回転軸に見立てて、外側から指を入れて回してみると、非常に軽やかに回転しています。

真ん中の歯車を直接指で押し回してみても、両サイドの歯車は容易にクルクル回りました。

この状態であれば、カセットデッキのオートリバース機能が反応することはなさそうです。

ちなみに、画像上では取り付けてある小さな歯車は、つけていても誤作動の原因にはならなさそうでしたが、この状態でケースを閉めると空間に少し遊びができ、振るとカチャカチャうるさかったため、走行中の振動でムダに騒音の元となりそうだったため、取り外しました。

画像上ですでに取り外してあるパーツは、これ以上分解できなかったため、重なり合った部分がこすり洗いできませんでした。そのせいだと思うのですが、このパーツをつけると全体の歯車の回転が重たくなりがちだったので、カセットデッキの誤作動を回避するため、この部分は外しておきました。

ケースについて

今回のカセットアダプターは解体する前提では作られていないタイプだったので、半ば強引にこじ開けました。

そのため、最後は接着剤を使って固体を封じました。

接着面として使える面積が少ないため、スコッチ プレミアゴールド スーパー多用途2 超強力接着剤という超強力接着剤を使用して固着を試みたところ、うまく実用強度は保たれているようです。

超強力接着剤スコッチプレミアゴールドとカセットアダプター

そして再びカセットデッキにセットしてみると・・・

磁気ヘッドや電気系統の部分に手を加えたわけではないし、理屈からすると音はちゃんと鳴るはず・・・とはいえ、実際にきちんと使えるかどうかは使ってみるまで分からないので、こういう作業の後は、いろいろな意味でドキドキワクワクします。

はやる気持ちを抑えつつ、カセットアダプターをカセットデッキに挿してみると・・・何事もなかったかのように、きちんときれいに音楽が聞こえてきました!

きちんと動きさえしてくれれば、やはりFMトランスミッターより断然音が良くて快適です。

不具合の原因を取り除いたので、あとは断線でもしない限り、しばらくはこのアダプターでカーオーディオを楽しめそうです♪

そのままだと使えなかったものが、ちょっと手を加えるだけで簡単に再生できるというのは、本当に楽しいものですね☆

デジタル対応補正回路スイッチ搭載!

追記:カセットアダプター全般に言えること

この手の商品はどこのメーカーのものでも作りはほぼ同じで、不具合の出方もほとんど同じです。

キュルキュルとうるさかったり、ガチャガチャとオートリバースし続けたり、カセットアダプターが強制排出されてしまったりするのは、たいていギア部分がうまく回転していないことが原因です。

そこで、多くの方がギア部分にグリスを塗ったり、ギア自体を取り外してしまったり、ギアやその他の部分を削ったり盛ったりするなどして、対処しているようです。

また、音がスピーカーの片方からしか出なかったり、音が極端に小さかったりするのは、カマボコ状の磁気ヘッド(音の出力部分)が、きちんとカセットデッキ側の読み取り部分と対応していないことが原因のようです。

この場合は、再生方向を逆回転させるか、カセットアダプターの磁気ヘッドがカセットデッキの読み取り側に近づくように、手動でアダプターや磁気ヘッドそのものの位置を調整してみることで、症状が改善する場合があります。

いずれにしても、作りそのものは非常にシンプルな製品なので、もし不具合にお悩みであれば、捨てたり買い替えたりする前に、思い切って分解してみるのもありかと思います☆